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森林 健悟; 香川 貴司*; Kim, D. E.*
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.7, p.233 - 236, 2006/00
高輝度X線源で生成したネオン様イオンの内殻励起状態に関係する原子データを幾つかの原子データコードで計算して、計算値の精度の評価を行い、さらに、そのデータを用いての中空原子のX線源,X線天文学への応用に関して検討を行った。原子番号が10から30のネオン様イオンの内殻励起状態の遷移エネルギーレベル,輻射遷移確率をRCI, Cowan, Declauxと呼ばれるコードで計算し、比較を行った。その結果、誤差は遷移エネルギーレベルについて2%以下、輻射遷移確率は20%以下であることがわかった。さらに、これらの原子データをもとにMg, Si, S, Ca, Feイオンの内殻励起状態及び中空原子からのX線数を種々のX線温度に対して計算した。その結果、内殻励起状態からのX線数は、X線温度にほとんど依存しないが、中空原子の場合は、例えば、Sイオンの場合、温度が1keVと3keVでX線数は二桁程度変化し、3keVを超えると内殻励起状態からのX線数に匹敵することがわかった。すなわち、これらのX線数の比較からX線温度を見積もれる可能性がある。この温度特性は、原子によって異なるので、種々の原子のスペクトル解析により、X線温度のより正確な評価が得られる可能性がある。
佐々木 明; 城 和貴*; 柏木 裕恵*; 渡辺 知恵美*; 鈴木 学*; Lucas, P.*; 大石 雅寿*; 加藤 太治*; 加藤 雅敏*; 加藤 隆子*
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.7, p.348 - 351, 2006/00
原子分子データベースは基礎科学,産業応用で利用されているが、広い分野からの需要を満たすには、現在手作業に頼っているデータ収集,評価を効率化することが不可欠である。われわれは、従来の原子データベースの構築の方法を分析し、原子分子データが記載されている論文の収集,論文中の重要データの抽出,具体的な図表のデータの読み取り,数値化の3つの段階に分け、コンピュータの活用による作業の効率化の方法の検討を行った。まず、論文の収集に関しては、多くの学術雑誌がオンライン化されていることを利用し、アブストラクトを自動的に収集することができる。次に、核融合研などにこれまでに蓄積されている、原子分子データが記載されている論文との類似性を計算することで、収集された論文の中から原子分子データが記載されている論文を選びだすことができると考えられる。本研究では、参照アブストラクトとの類似性のためにLVQ(Learning Vector Quantization)法によるテキスト分類の方法を用い、用意されたサンプルが原子分子データを含む論文かどうかの適合性を判定する実験を行い、結果の評価を行う。本研究は、会津大,奈良女子大,核融合研のグループが論文ダウンロードソフトの開発,テキスト分類ソフトの開発評価,参照用データの提供等の各要素を分担して行う。
久保 博孝; 左高 正雄; 白井 稔三
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.7, p.352 - 355, 2006/00
核融合研究では、粒子熱制御やプラズマ診断のために、燃料である水素,核反応で生成されるヘリウム,プラズマ対向面材料から発生する不純物に関する原子分子データが必要である。ここでは、原研における核融合研究のための原子分子データ整備に関する最近の活動概要について報告する。原研では、最近、低温ダイバータプラズマにおいて重要な役割を果たす分子(水素分子,炭化水素分子等)に関する反応断面積データを収集評価している。収集評価したデータから半経験式を導き、データを使いやすくした。また、米国国立標準技術研究所と協力して、核融合プラズマにおいてプラズマ対向面材料から発生する、あるいは熱制御やプラズマ診断のために入射される重不純物(Ar, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Ga, Kr, Mo, W)の高電離イオンに関するスペクトルデータを収集評価している。さらに、大学の協力を得て、低エネルギー領域における電子衝突や荷電交換に関する断面積データの取得を行っている。
森林 健悟
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.7, p.150 - 153, 2006/00
重粒子線のBragg Peak付近の領域で重要な原子分子過程に関して研究を行った。この領域では、陽子線や線で見られるようにイオン衝突電離過程のほかに電荷移行過程,電子損失過程が重要になることが予測できるが、多くの評価済みデータが存在する水素原子,水素分子標的の断面積の原子番号(Z)依存性を調べ、各過程の断面積をZの式で表し、その傾向から重粒子線と水との衝突断面積を近似した。さらに、リチウム粒子線に関して、これらの衝突断面積とリチウムイオン・原子の基底・励起状態のエネルギーレベル,自動イオン化率,輻射遷移確率の原子データを計算し、核散乱を無視したモデルに適用させて、各原子過程のエネルギー付与への寄与を求めた。その結果、Bragg Peakのところ(約300keV/amu)では、90%程度電離過程がエネルギー付与に寄与しているが、100keV/amuのところでは、電荷移行と電子損失の寄与が10数%ずつあり、電離過程の寄与は70%程度であった。さらに、50keV/amuのところでは、電荷移行,電子損失,電離の寄与はそれぞれ約50%, 25%, 25%、10keV/amuでは、3つの過程の寄与は、35%, 25%, 40%となり低エネルギーでは、すべての原子分子過程が重要になることがわかった。
竹永 秀信; 朝倉 伸幸; 久保 博孝; 木島 滋; 仲野 友英; Porter, G.*; Rognlien, T.*; Rensink, M.*
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.7, p.35 - 39, 2006/00
不純物入射により放射損失が高められたJT-60Uの高 ELMy Hモードプラズマにおける不純物輸送のモデル化を行った。不純物入射による放射損失増大は、核融合炉において、ダイバータ板への熱負荷を低減するために有効な手法であると考えられている。主プラズマでの不純物輸送は1次元輸送コードを用い、ダイバータ及びスクレイプオフ層では2次元の流体コードUEDGEを用いた。主プラズマでは、入射されたアルゴンからの放射損失分布が中心領域でピーキングしているのに対して、もとから装置内に存在する炭素からの放射損失分布は周辺領域に局在している。UEDGEコードによる不純物輸送モデリングからは、ダイバータ及びスクレイプオフ層においては、炭素からの放射損失がアルゴンからの放射損失より大きいことが示された。主プラズマにおけるモデル化により評価された放射損失分布は、測定結果よりピーキングした分布となっている。また、UEDGEコードにより評価されたダイバータでの放射損失分布は測定結果と矛盾しないが、絶対値は2倍程度小さな値となっている。
日下部 俊男*; 塩田 健司*; 久保 博孝; 白井 稔三*
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.7, p.237 - 239, 2006/00
核融合プラズマ装置においてプラズマ対向面として炭素材料を用いた場合、周辺プラズマには炭素イオンや種々の炭化水素分子が不純物として発生する。これら不純物の挙動をモデル化するには、炭素イオンと炭化水素分子の電荷移行断面積が必要である。われわれは、Cと種々の炭化水素分子及びCO, COの1電子及び2電子の移行断面積を0.7-6keVのエネルギー領域で測定した。その結果、ここで測定したほとんどの場合に対して電荷移行断面積はエネルギー依存性が弱いことがわかった。また、炭化水素分子の1電子移行断面積は炭化水素分子の電離エネルギーに依存することがわかった。一方、2電子移行断面積にはそのような依存性は見られなかった。
島倉 紀之*; 本間 真由美*; 久保 博孝
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.7, p.199 - 202, 2006/00
トカマク実験装置のダイバータプラズマでは、C IV n=6-7(722.6 nm)とn=5-6(466.0nm)のスペクトル線が、C IVの基底状態からの電子衝突励起のみを考えた場合に予想されるより、非常に強く現れる場合がある。これは、Cがn=2に励起した水素原子と衝突し、電子を捕獲することによって起きると考えられる。このスペクトル線は、可視領域にあるので、ダイバータプラズマにおける高電離炭素イオンの挙動診断に非常に便利に利用できる。この利用のためにはCイオンと励起水素原子(H*(n=2))の衝突による電子捕獲断面積が必要となるが、今まで多価イオンと励起水素原子の衝突による電子捕獲断面積に対する定量的な評価は行われていなかった。ここでは、Cイオンと励起水素原子(H*(n=2))の衝突による電子捕獲断面積を60-6000eV/amuの衝突エネルギー領域において分子基底展開緊密結合法を用いて計算した結果について報告する。
今井 誠*; 白井 稔三*; 斉藤 学*; 春山 洋一*; 伊藤 秋男*; 今西 信嗣*; 福澤 文雄*; 久保 博孝
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.7, p.323 - 326, 2006/00
われわれは核融合研究に必要なイオン-原子,イオン-分子衝突による荷電交換断面積データの生産と収集を行ってきた。核融合炉の対向面材料から不純物として発生するの1価及び2価イオンと原子(),分子()との衝突による1電子及び2電子交換断面積を5-15keVの衝突エネルギー領域で測定した。また、1983年以降に科学雑誌に発表された荷電交換断面積の測定データを収集した。ここでは、これらのデータ生産,収集活動について報告する。
加藤 隆子*; 村上 泉*; 後藤 基志*; 森田 繁*; 居田 克巳*; Peterson, B. J.*; 舟場 久芳*; 仲野 友英
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.7, p.1 - 4, 2006/00
真空紫外スペクトルを定量解析した。C IIIスペクトル線の強度比から求めた電子温度を用い、ネオン入射によって発生したプラズマの放射損失源を分光計測とボロメータ計測で同定した。さらに不純物の発光線強度比の時間変化から不純物による放射損失の時間変化を求めた。
Kramida, A. E.*; 白井 稔三*
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.7, p.334 - 337, 2006/00
タングステンはスパッタリング率が低く、優れた熱特性を持つので、将来のトカマク型核融合炉のプラズマ対向面材料として有望である。しかし、プラズマ対向面材料として使用されたタングステンがプラズマ壁相互作用によって炉心プラズマに混入すると、放射損失を増大し炉心プラズマの性能劣化をまねく。炉心プラズマに混入したタングステンイオンの挙動を分光診断するには、タングステンイオンのスペクトルに関するデータが必要である。ここでは、タングステン多価電離イオンのエネルギー準位,波長,電離エネルギーのデータ評価,収集に用いる方法について報告する。データ評価において生じる問題に関して、幾つかの例をあげて議論する。
香川 貴司*; 西原 功修*; 佐々木 明; 小池 文博*
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.7, p.245 - 248, 2006/00
Sn, Xeの多価イオンは複雑な構造を持ち、そのスペクトルの解析には数値シミュレーションが不可欠であるが、発光に寄与する準位に対して配置間相互作用(CI)の効果が大きく、発光線の遷移波長や強度を正確に求めることは従来困難とされてきた。本報告では、複数の異なる原子構造コード及び実験結果の間の相互比較によって、原子データの精度を向上させることを目標として行った研究の成果の一つとして、相対論的配置間相互作用(RCI)を含む原子構造コードによって、914価のSnイオンと813価のXeイオンの、EUV領域(波長13.5nm領域)におけるスペクトルの解析を行った結果を示す。